DVDレーザーの作成と検証


大きな部屋でかつ、照明が点いた環境でも鮮明に物を指せる赤色レーザーポインターを作成してみました。


※今回作成したレーザーポインターは某ニ○ニ○動画に上がってるような集光していないレーザー光が当たるだけで風船や物体を焼損させるような出力のものではありません。


DVDレーザーとは:
DVDドライブに搭載されているレーザーダイオード(LD)が一般では購入しにくい出力のレーザー光源を安価に作成するのにちょうどよかったことからそのような名前が付いたらしいです。
特に書き込み可能なDVDドライブから取り出せるLDの出力は200mW(QCW点灯時)を超えるものも多く、基礎知識と技術があれば数千円でClass3Bの出力のレーザー光源を作ることが出来ます。
レーザーの色は赤(λ=650nm、635nmのものもあるらしい)で可視光です。

日本では数年前からレーザーポインターの販売が制限されて、現在市販で購入できるレーザーポインターの出力は1mW未満(Class1〜2相当)です。


用意するもの:
DVDドライブ(書き込み可能なものが良い)
コリメートレンズ(ここではかつて秋月電子さんにて購入できたレーザーモジュールを使用)
3端子レギュレータ(3.3V)
抵抗(3Ω程度)
ダイオード
スイッチ
銅版
基盤
グルーガン(エポキシ樹脂がある方はそっちを推奨)
テスター(電流計として使います。デジタル表示のがお勧め)


 注意:
○レーザーダイオードについて
LDというものは非常に電気的な刺激に弱いです。LDの端子に手を触れただけでレーザー発振しなくなってしまうこともよくあります。LDを扱うときには必ず体に帯電した静電気を放電する必要があります。
過電流でもすぐに壊れてしまうため、LDに流れる電流を電流計で見ながら出力を調整する必要があります。
○倫理的なことについて
Class3Bのレーザーとは、間接的に目に入射する光(物体に当たって乱反射した光)は安全ですが、直接目にレーザーが入射した場合、目に回復不可能な損傷を与える強度のものを指します。
当たり前ですが絶対にレーザー光を覗き込んではいけません。
これも当たり前ですが、人や動物に向けたり建物の窓や車、電車、航空機等に向けてのレーザーの照射は絶対にしてはいけません。
出力の高いレーザーは暗闇で飛跡が見えるため、星を指すための指示棒代わりにも使えますが、飛跡の先に航空機等がいない事を確認しなくてはなりません。

手順
まずDVDドライブを分解します。DVDドライブは新品でなく、ジャンク品でも大丈夫です。
今回はパイオニアのDVR−111を分解します。まずネジを全て外します。

次にドライブのピックアップを取り出します。


ピックアップには大抵CD用のLDとDVD用のLDが分かれて付いています。


LDを外す寸前の画像です。この画像では下のLDがDVD用です。
DVR−111ではLDに付いているフォトダイオードは使っていないらしく、リード線は2本しか出ていませんでした。
今回はフォトダイオードを使った出力制御は行わないため、もとから付いていたリード線をそのまま使うことにします。


LDを取り外せたら次にLDをドライブする回路を作成します。
以下のような回路を適当な基盤上に作ります。作り方や、半田付けの方法は割愛します。
私の場合、V+は6V、D1は通常の整流用ダイオードを使用しました。D1は何らかの外的要因で回路へ逆電圧が掛かった場合にLDを保護する目的で挿入してあります。D1については要らないかもしれません。
LEDはLDへ電流が流れていることを確認するためのインジケータとして挿入しました。別に青色LEDである必要はありません。
3ΩはLDへ流れる電流を制限するために挿入してあります。手元に3Ωが無かった私は10Ωを4個並列にして2.5Ωで動かすことにしました。値を低くすると出力が上がりますが、電流過多と過熱でLDを焼損する危険がでてきます。
回路が組みあがったらLDを点灯させてみましょう。赤色に強く光る筈です。LEDは普通に光るのにLDがとても弱くしか光らない場合、LDは静電気などで壊れてしまった状態ですので予備のドライブが無い場合、再購入するかここで諦めてください。


LDはレーザーを発振していますが、このままではLEDのように光が拡散してしまっています。
これはLDに共通のことで、コリメートレンズという拡散する光を平行な光に直す焦点距離の小さいレンズを取り付けないとレーザーをビーム状にすることはできません。

レンズ単体では入手しにくいと思うので、市販のレーザーポインターを分解して入手するか、レーザーモジュールを購入して入手します。

下の写真はかつて秋月で販売されていたレーザーモジュールです。
モジュールの先端が回転して、コリメートレンズの位置をある程度の範囲で調整できます。
レーザー機器に貼ってあるDANGERシールも付いてきました。


次にレーザーモジュールの加工をします。あらかじめ付いていたLDと点灯回路は取り外しておきます。コリメートレンズやスプリングも外しておきます。
DVDのLDは高出力ですが、発熱もそれなりに大きくなっています。放熱のしにくいドライブ内で使われることを想定してか、最近のLDの耐熱温度は70℃程度まで上がってるようです。しかし高温環境では寿命が短くなることは確かなので放熱する必要があります。

今回は長時間の連続点灯は行わないことを想定しているので真鍮製のモジュール本体に0.5mmの銅版を半田で付けました。銅版で簡易的に放熱を行います。



放熱板が付いたモジュールにコリメートレンズとスプリングを戻し、LDを取り付け、グルーガンで固定したら完成です。
グルーガン接着では、発熱した際に軟化したり、再び溶け出すことがあるので、本当はエポキシ樹脂などでの接着が望ましいです。
秋月電子のレーザーモジュールは先端を回転させることでコリメートレンズの位置調節が出来るので組んでからでもスポット径の調整が利きます。
レーザーの出力を測定する装置を持っていないので正確な値は分りませんが、出力はClass3B相当になる筈です。
これがレーザーを使用したものであると分るようにレーザーモジュールに付属してきたDANGERシールを貼っておきます。
後はレンズの調整をして任意のスポット径になるようにしてください。
※回路が貼り付けてある水色のボックスは電池ボックスです。かなり格好悪いですが・・手頃なものが無かったので壊れたUSB扇風機を解体して作成しました。

とりあえず光らせてみた状態です。明るい部屋ではレーザーの飛跡は見えません。
明るさは市販の赤色レーザーポインターよりもかなり明るいです。
これなら明るい部屋でも十分物を指し示すことが出来ます。
もちろん出力をある程度落としてあるため、通常レーザーポインターとして使うビームスポット:3〜5mm@5m程度では当てたものが焦げたり熱くなったりすることもありません。
(但し、コリメートレンズを動かしてビームスポットを0.1mm@10cm程度に集光した場合に限り、(太陽の光を虫眼鏡で集光するような感じ)黒い物体が焦げることを確認。

[3mm@5m:レーザー光源より5mの地点でスポット径3mm]

夜、屋外の建物の壁にレーザーを当てた状態の写真です。
カメラの露光時間を調整したので実際に見た感じも写真のような感じです。薄っすらと赤いレーザーの飛跡が見えると思います。


今後の課題:
今回のレーザーの点灯方法はCW方式(連続点灯)ですがDVDドライブ内で動作しているLDはQCW(パルス点灯)です。パルスにする理由は、間欠的に点灯することによって熱の発生が少なくなる、電流が多く流せる→出力を上げることが出来る からのようです。 
パルス間隔やデューティー比がLDによって決まってるようですが、DVDから取り出したLDはデータシートが公開されていない場合があります。DVR−111のLDもデータシートが見つからないのですが、まだ手元にジャンクのドライブが数台あるのでPICか555を用いてQCW発振もやってみたいですね。